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  • 黒木慕楠少佐『歎願書』。

  • 投稿者:備中處士
  • 投稿日:2009年 8月21日(金)18時33分54秒
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●黒木慕楠少佐『艦政本部宛て歎願書』(血書。昭和十八年十月二十五日。『悲劇縱走』より所引)に曰く、「

 謹みて衷心、甲標的、急速進出方、御願ひ申し上げ候ふ。案ずるに、皇國今日の危急、正に千古の存亡に懸つて存する所、而して陛下の御深憂し給ふ處、臣等、恐懼慙愧、唯々粉骨碎身、以て聖慮を安んじ奉らんと存じ候ふも、尚ほ足り申さず、當に如何が致すべく候ふや。

 吉田松陰先生の曰く、『近世海外の諸蠻、駸々然として上國を凌侮するの勢あり。我、何を以てか、是を制せん。他なし、我が國體の、外國と異なる所以の大義を明かにし、闔國の人は闔國の爲に死し、臣は君の爲に死するの志、確固たらば、何ぞ諸蠻を恐れんや。願くは諸子と茲に從事せん』と。噫、人、よく之を知り、庶民、猶ほ克く之を能くす。況んや今日此の秋、必死滅賊の言、吾人武人に於て、焉ぞ控手空言たるを得べく候ふや。赤心、一度その空言なるを慙愧發奮して、之が眞實ならん事を期す。然共も凡々の身、生死無念の大悟たる能はず。唯だ知る、死を希庶ひて努めんか、遂によく必死の力に背かざらん事を。凡そ百戰は、萬事を死字に賭せしもの、故に勝敗たる、斷じて物資に決するなく、一に義に徹し、死に徹せし國民に、最後の戰勝は歸す可く候ふ。

 松陰先生も曰く、『天下、難あれば、億兆の臣民、皆、正に之に死すべし。億兆の民(臣)、皆、死すべからざれば、則ち皇統は天壤と共に窮りなけん』と。皇國の興廢、正に此の所に在り。而して今日、吾人の力むる所、又た義と死の徹底に在りと存じ候ふ。されば義と死の徹底は、正に不生還滅賊に在りと見極め仕り候ふ。皇國の存亡、陛下御深憂の時、豫め以て不生還の計は、當に今日、皇國士夫の任たるべく候ふ。況んや武人たる吾人に於てをや。而して此の行、緊急を要するの秋に於てをや。茲に此の任、此の行たる、正に標的にしかずと存じ候ふ。即ち甲標的をして急速進出、自爆せしめられ度く候ふ。

 夫れ自爆の事、赫々たる先輩を有し、一旦再擧の日を鶴首致し居り候ふ。吾等、標的員一同、必死必殺を相誓ひ、心魂、既に淡々と致し居り候ふ共、未だ先輩に遲るゝこと、荏苒として十有六月、然共も機到らずとなす根底に於て、若し先輩の抱き逝かれし必死滅賊の精神の、未だ純粹徹底して、諒解採用せられざるに於ては、一歳有半の年月も復た長しとせず、先輩の魂魄安んじ、救國の道確立せらるゝの日、復た遼遠と斷ずるの外、之れ無く候ふ。必死滅賊の實、正に自爆の計に在り、囘天救國の道、一に之が採用に在りと確信仕り候ふ。

 吁、今日、必死滅賊の言を空言に附して、何日の日か、復た皇國の安きを期せん。則ち人心の奮起して、必死滅賊の全からん事を冀ふ。空言、既に恥づ。乃ち吾等、先づ死せんのみ。素より上官の、部下をして生還せしめざるは忍び難き所と雖も、上官切實の志を、之を部下をして採らしめ給ふとも、臣が名分には背く間敷く候ふ。宇内の情、今日、全く逆覩し難く、而も國力を以て爭ひ、同樣の戰術を以て彼に對せば、遂に戰勝の日あるべからず。或は明日を期して、聖慮を安んじ奉るの大策ありとするも、焉ぞ臣等が切實の願ひ、明日を待つの心あらんや。況んや一草莽の命を憐みて機を失ひ、神州の聖、再び戻らざるの事あらんか、臣が罪、萬死、以て及ぶべからず候ふ。宣戰の大詔を拜し、陛下御深憂の程、拜し奉りては、唯々恐懼慙愧、身の措く處を知らず、義、高くして、便ち生の捨つるに堪へ、先人の遺訓、照々として、一死明々たるとき、猶ほ部下を憐むに堪へず思し召し下され候はゞ、是非、必死殉皇、尊皇滅賊の戰法をして、吾等に採らしめ賜ひ、一片の微衷を後世に問はしめられ度く候ふ。

 今日、標的員の志、今や獨り殉皇を以て足るなく、唯だ正に道義を宣明して、皇國の緊急に應へ奉らんのみ。されば豫め必死自爆の計なくしては、吾等、遂に瞑するを得ず、時機傚功の論、復た一顧の要なき所に候ふ。特攻の事、今日至難事と雖も、その襲撃する處によりては、皆、「ハワイ」・「シドニー」にはあらず、況んや生還を期すると不生還を諾するの分岐、唯に征路を倍加するに留まらず、之を用ひると用ひざるとは、今日の無をして有たらしむるの隔りあり、戰果、復た豁目して待つべく候ふ。加ふるに皇軍神武のいはれあり、常に神助を確信して疑はず候ふ。吾等、既に傚功を論ぜず、戰果を欲せず、唯だ正に自爆特攻、以て大義を宣明して、皇國の緊急に應ぜんのみに御座候ふ。

 右、切願達成の樣、切に々ゝ御配慮の程、懇願し奉り候ふ。謹白。

紀元二千六百三年 昭和十八年十月二十五日 標的艇長」と。



●黒木慕楠少佐『艦政本部宛て歎願書』(血書。昭和十九年一月二十五日。『悲劇縱走』より所引)に曰く、「

 謹みてハワイ閉塞の件、御願ひ申し上げ候ふ。戰局の趨勢を按ずるに、艦隊決戰を期す。皇國興廢の一擧、將に近かるべしと存じ候ふ。而して此處に乾坤一擲、各種兵器より成る特別攻撃隊の企圖せられ、既に全く生還せざるの計也と聞き居り候ふ。此なる哉。此にして始めて大皇の醜の御楯の名に背かず、神明も亦た與し給ふの心地致し候ふ。されば此の精神を、直接先輩に仰ぐ吾等標的員に於て、焉ぞ拱手傍觀を得べく候ふや。然も今次、皇國興廢の一戰は、艦隊決戰を覺悟するに於てをや。正に標的員の勇躍、投ずべき處かと存じ候ふ。則ち茲に特殊潛航艇を以て、敵主力艦隊を閉塞せんと、決意仕り候ふ。

 聞く處、第一に彼我共に艦隊決戰を企圖しつゝあり、則ち必ず其の主力の一根據地に集結の機あるべきこと。第二に今日、猶ほ敵米國は、ハワイを主力艦隊の根據地と成し居ること。第三、ハワイの水道は、幅二○○米、水深一六米、全長約一浬なれば、重巡一隻を轟沈せしめば、必ず水道の閉塞可能なること。第四、此の攻撃目的に適する兵器、即ち甲標的の改造は、別紙の如くニケ月を以て爲し得ること。第五、吾等標的員は、此の任を全ふするに足る先輩と戰訓技倆を有すること。以上により、閉塞の成功、殆んど疑ひなく、然も其の戰局に及ぼす影響、復た測り知るべからざるもの有りと確信仕り候ふ間、是非御採用下され度く御願ひ申し上げ候ふ。

 吁、然共も恐る、或は之が不生還を慮りて、遂に採用せられざらん事を。然も小官等の心中は、明かに必殺必成を期し、自爆の外、他念、之れ無く候ふ。されば今次の閉塞の快擧も、其の決行の採否、復た此の處に支障仕るべく候ふ乎。愼みて思ふに、今日の状、戰局、眞に逆睹し難く、國内の情、宇内の變、復た一日も空しくすべからざるの秋、臣等、唯だ正に粉骨碎身、勝つを謀りて餘念なかるべく候ふ。況んや武人たる、必死奉公の誓ひ、今日に處して空言たるは、許され申し間敷く候ふ。世人、齊しく言ふ處、日本人の最後の手段あり、と。又た諸官の吾等を激勵せらるゝや、當に秋に當りては、必ずや諸子に最後の手段を嘱せん、と。又た然らずとも、微々たる人力の事、最善の努力は、遂に最後の手段に若かず。

 臣等、一日も早く、聖慮を安んじ奉らんとするに、何の躊躇、何の名目、何の空言か許さるべく候ふや。況んや皇國の興廢、此の一擧に決するの秋に於てをや。松陰先生曰く、『天下、難あれば、億兆の臣民、皆、正に之に死すべし。億兆の民臣、、皆、死すべからざれば、則ち皇統は天壤と共に窮りなけん』と。乃ち今次大戰は總力戰なりと雖も、畢竟、百戰は萬事を死字に賭せしもの、故に勝敗は、一に死と義の徹不徹に決し仕るべく候ふ間、今や明々白々、臣が道に何の躊躇も之れ無かるべく候ふ。小官等、戰局熾烈、國歩艱難にして激するにあらず、本分を追求し、全力を工夫し、茲に心中莞爾として悦びに堪へざるのみに候ふ。楠子も湊川出陣に臨んでは死を必し、又た小楠公は二十有三、顯家公は二十一歳を以て殉ぜられ候ふ。此れ等、皇國を護持し來られし先烈を思ひては、復た自から必する處、之れ無しとは相濟み申さず候ふ。況んや國體の優る、御歴代の皇恩、陛下の御深憂の程、拜し奉るときに於てをや。

 願はくは、武人の爲に武運の長久を祈らるゝことなく、切に武人が本懷の擧を許し賜はらん事を。

 吁、然共も顧みれば、小官等、つとに殉皇の實、戰勝の道、一に死の戰法に在りと確信仕り、爾來歳餘、自爆完遂の外、他念、之れ無く努め來り候ふ共、至誠足らず、靖獻通らず、今期に及び候ふ間、遂に機を逸せざらんが爲、今次、已むなく生還を講じ候ふ。小官等、誠に切齒斷腸の思ひなれども、生還叶ふべく候ふ間、前記、閉塞決行の事、必ず御採用下され度く、又た逸機、最も殘念に候ふ間、之が標的の改造、竝びに訓練、至急、御許可相成り度く、右、御明斷の程、衷心懇願し奉り候ふ。

 赤心、以て靖獻仕り度く、斯樣の次第、御寛容賜はり度く願ひ上げ候ふ。謹白。

紀元二千六百四年一月二十五日 標的艇長」と。


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